ビジョン仕組み化コンサルタント、エグゼクティブコーチの岩田海和です。
私は「人の問題」で頭を悩ませている小さな会社の経営者をサポートしています。
サポート内容は、会社成長に欠かせないビジョンを軸とした、人材育成・企業文化醸成の仕組みづくりです。サポートした会社の従業員は、自分たちの仕事に目的や意義を見出し、誇りを感じながら働いています。そして従業員一人ひとりが自己実現(自身の人生を豊かにすること)と仕事をリンクさせることで、主体性を高めています。
また、経営者は一人で従業員について悩むことがなくなり、本来経営者がすべき仕事に集中できます。すると、経営者がいなくては動かなかった現場が社員の力によって動き出すようになります。
その結果、事業成長のスピード感も高まり規模や売上が拡大していきます。
現在は小さな会社の経営者のサポートをさせていただく毎日に、とても充実しています。
しかし、ココに至るまでには「組織」の中で多くの課題と向き合ってきました。
問題のある組織と倒産と
過去には、エステティックサロン、ITベンチャー、コンサルティング会社で働いてきた経験があります。
エステティックサロンでは、お客様の施術をしつつ、スタッフのスキル指導の役割も担っていました。お客様に喜ばれやりがいを感じる。その一方で、スタッフの派閥争いやインセンティブを目的としたお客様への無理な営業、責任者のマネジメント放棄など、今思えば組織としてさまざまな問題がありました。
また、ITベンチャーでは営業サポートとして、全国を飛び回る営業担当者のスケジュール管理やセミナー運営などを任されていました。
1件の契約が1500万円という高額の商品を扱っていたので、営業との連携はとても重要でした。株式公開を目指していた同社では、驚くほどの急成長をしていきましたが、ITバブル崩壊によりあっけなく倒産。
リストラが始まり、空席が目立つようになってきたころ同社を退職しました。
アイツらが悪い
私がはじめてコンサルタントの職務に就いたのは、2001年の創業からジョインした会社でした。
後にコンサルティング会社となる同社は、当初マーケティング支援会社としてスタートしました。創業メンバーは前職からの気の合う仲間同士でまさにツーカーの仲。
自然と同じ方向を見ていてさまざまなチャレンジをしながら順調に業績を上げていきました。狭いマンションの一室をオフィスとしていたことも、長い勤務時間もまったく気にならないくらい、とにかく楽しい職場でした。
しかし、しばらくしてメンバーが入れ替わり、徐々に組織内に不穏な空気が…
気づいた時には組織の人間関係はグチャグチャになっていきました。
私が組織づくりに真剣に向き合うきっかけとなる問題が起きたのは、創業から7年が経ったころです。
順調に業績を伸ばし、社員には給料もそこそこ支払っていましたから、やりがいを持って働いてくれているとばかり思っていました。しかし、社内の雰囲気はどんどん悪くなっていきました。
喫煙スペースから不平不満、私に対する陰口が聞こえてくるのは日常茶飯事で、社員の態度も段々と反発的なものになっていったのです。
そんな社員の態度に対して苛立ちを感じながらも何も対処することはありませんでした。
組織のナンバー2となっていた私はこの時、完全に「会社側の人間」でした。社員の心の内を想像することすらせず、
「アイツらが悪い」そう思っていました。
ストライキはお金で解決
そんな時期がしばらく続いた後、社員のストライキが起こります。しかしそれも放っておきました。するとある朝、社員から話がしたいと言われました。
私ははじめから何も話す気はなく、ただ彼らの辛辣で身勝手な言葉を聞いていました。彼らは「この会社はまるで社長と美和さんだけの会社みたいです」と言いました。
その言葉を聞いたときも、「何言ってんだか。そんなの当たり前。私はアンタらみたいな半端な気持ちでやっていない!」と心の中で思っていたのです。
このように思っていたので当然、話し合いがうまくいくはずありません。彼らの気持ちに向き合うことも無く、こちらから一方的にお金の話だけをして辞めてもらいました。
彼らが辞めてからは「彼らのためにたくさんのことをしてきたのに…」という空しさと、「人がいなくなって面倒なことがなくなった」という清々した気持ちが入り交じっていました。
彼らに対する申し訳なさなんて、当時の私は1㍉も感じていませんでした。
社内に問題があるときは、社外との関係性においても必ず問題が起こるものです。
取引先の暴挙によって顧客に迷惑がかかったことで、朝から晩まで顧客からの抗議電話が鳴り止まない日々が続きました。結果、半分の顧客を失いました。
社員もいなくなり、多くの顧客も失った。創業から7年も経って振り出しに戻された思いで「今までやってきたことはいったい何だったんだろう…」と気持ちはどん底で、お酒を飲む日々がしばらく続きました。
しかし、いつまでも落ち込んでいるわけにはいきません。
私はそこではじめて「真正面から経営の勉強をしよう!」と決意したのです。
しばらく勉強を続けていく中で出会ったのが、米国スモールビジネスコンサルタントの権威、マイケルE.ガーバー氏のメソッドでした。
マイケルE.ガーバー氏は、米国で有名なスモールビジネスの経営コンサルタントで著書に「はじめの一歩を踏み出そう」があります。
彼は7万社ものスモールビジネス経営者にアドバイスしていく中で、経営が成功し継続する会社の共通点をメソッド化していきました。彼のメソッドは大学の教科書にも載るほどです。
マイケルE.ガーバー氏が提唱するメソッドには、「経営はすべてシステムである」という原則があります。
「システムは、経営者が情熱をもって描くビジョンを実現するためにある。そしてそのビジョンに人は集まってくる。さらには、スモールビジネスが会社を成長させていくためには、仕事を従業員に任せて経営者は現場を離れなければならない。だからこそ、システムが欠かせない」と言っています。
このことを知った私は、そもそも自社にはビジョンがなく「社員に未来を見せてあげられていなかった」ことにようやく気づいたのです。
辞めていった彼らはきっとどこに向かっているのかも分らず、不安で不安で仕方なかったのだと思います。
彼らに「申し訳ないことをした」と思えるようになった時、第2創業期のつもりで再スタートを切りました。
2012年、ガーバー氏の直接指導を受けるため渡米し当該メソッド(マイケルE.ガーバードリーミングルーム)の認定ファシリテーターとなりました。
※後にファシリテーター制度は無くなりました。
その後は学んだことをとにかく実践し、自社を立て直していきます。
ビジョン策定に始まり、事業・人材育成・企業文化の醸成など、あらゆることを仕組み化していきました。
その結果、「人を一から育てる時間はない」と考えていた自社に、新卒の社員を迎え入れることができました。さらには、企業文化の醸成に取り組んだことで離職が減りメンバーが定着するようになりました。
自社の変化からも、ビジョンを起点とした仕組みづくりによって会社を成長させる考え方の大切さを痛感した私は、事業としてガーバー氏のメソッドを日本に広める活動をスタートしました。
経営者の悩みは「人の問題」がほとんど
スモールビジネス経営者向けにセミナーやワークショップを行なっていくと、多くの経営者が「人の問題」で悩んでいることが分りました。
起業から2~3年は明確なビジョンがなくても経営者の情熱だけでやっていけます。
問題は人を雇用し始めた時からです。
それまで社長の勘と経験で上手くいっていたことが、そうもいかなくなっていきます。当然、従業員には社長と同じ勘も経験も、描いている会社の未来もありません。にもかかわらず社長は、「社員が仕事を自分事にしてくれない」「俺がいないと会社が回らない」と嘆き続けています。
「目指す方向なんて言わなくても、自分で考えて仕事するでしょ普通は」
こう思っている経営者は、社員に不安を与えていた過去の私と同じ過ちをおかしています。
「このやり方を覚えて間違えないようにやって」
「なんでそんな対応になるの?考えれば分るでしょ?!」
過去の私の指示出しはこのようなものでした。
彼らに見せていたのは「今やるべきこと」であって、それがどこに向かって何のためにやることなのか少しも伝えていなかったのです。
あの時、会社として描いている未来、目指す方向を伝えられていたら、彼らは仕事を自分事にしてやりがいをもって働いてくれていたかもしれない。
「会社側の人間」や「会社 VS. 従業員」という関係性ではなく、一丸となった「私たち」として未来を見ることができていたかもしれない。
今は、そう強く感じています。
経営者と働く人の架け橋に
「部下との関係性で悩んでいる経営者の役に立ちたい」
「もっとクライアントとの関わりを深めたい」
「経営者と働く人の架け橋になりたい」
このような想いで胸がいっぱいになった私は、セミナー講師として、また経営者との対面セッションで経験を積み2015年にコンサルタントとして独立しました。
スモールビジネス経営者のサポートをしていると、社長と従業員の間に大きな溝ができてしまっている現場に遭遇します。
このような状態になってから、当人同士だけでその溝を埋めていくことは困難…。ハッキリ言ってほぼ不可能です。
実際、人の問題に関しては私のような第三者が加わることで、多くの問題を解決できました。
ビジョンを中心に置いた従業員との関わり方、従業員同士の関わりはとても重要です。人の関係性がうまくいかなければ、素晴らしい「仕組み」も活用されずに放置されてしまいます。
そうならないために、私は小さな会社の経営者のパートナーとしてビジョンを組織内に波及させ、実現に導く仕組みづくりをお届けしています。
経営者が心理的安全性の元、ビジョンを語り経営を楽しみ、従業員が自主性と誇りをもって働ける会社を増やしたい!
そのための繋がりをたくさんもちたいと願っています。これからも、小さな会社の可能性を信じ、共に前進していくため、自己研鑽を重ねていきたいと思っています。